6、坪庭風の庭園

 区画された空間に庭をつくるのは、簡単なようでむずかしい。「好きなようにつくれ」と言われるのはさらにむずかしい。小空間に構想をめぐらせて1か月、『寒山誌(三)』の一節、「吟風一葉松」の一行を思い出しました。「茶掛け」にも読まれるこの詩の心境を庭で表現できないものかと、イメージをふくらませたのです。
 無欲の大自然を分割し、必要最小限の資材で再構成していくのが庭づくりです。私たちはアカマツや伽藍石に思いを馳せ、小石や下草に大地を匂わせました。みなさまには、手前の水鉢に自由に花を生けていただきたいと願っています。


京都にわ耕  仙波雄三、丸岡美香ほか
 
寒山の道はおもしろい。道とはいえど車馬の通う様子もない。連なる谷々には幾曲がりか覚えきれず、層々たる峰の重なりは、かぞえきれない。露にぬれて伏す千々の草。風にうそぶくひとむらの松。今この時、ゆく径に迷うならば、自身は影法師に向かって問うであろう、「いずこえ行ったものか」と